胃底腺型胃癌(GA-FG)とは? 「ピロリ菌がいない人」に増えている新しいタイプの胃がん
胃底腺型胃癌(GA-FG)とは? 「ピロリ菌がいない人」に増えている新しいタイプの胃がん
近年、内視鏡診断の進歩により発見されるようになった、新しいタイプの胃がんです。 一般的な胃がんの多くは「ピロリ菌」による慢性的な炎症(萎縮性胃炎)を背景に発生しますが、**胃底腺型胃癌(Gastric adenocarcinoma of fundic gland type)**は、ピロリ菌が一度も感染していない「きれいで健康な胃」に発生するのが最大の特徴です。
かつては非常に珍しい疾患とされていましたが、ピロリ菌感染率の低下とともに、健康診断などの内視鏡検査で見つかるケースが増えています。
胃底腺型胃癌は、胃の酸を分泌する「胃底腺」の細胞に似た性質を持っています。細胞の悪性度が低く、進行が非常に緩やかな「低異型度腺癌」に分類されます。 転移(リンパ節や他臓器への転移)を起こすリスクが極めて低いため、早期に発見できれば過度に恐れる必要はありません。
一般的な胃がん(赤く、くぼんでいることが多い)とは異なり、以下のような特徴があります。
色調: 周囲の粘膜と同じか、むしろ少し白っぽく見える(褪色調)。
形: 粘膜の下に膨らみがある「粘膜下腫瘍(SMT)」のような形をしている。
血管: 表面に拡張した樹枝状(木枝状)の血管が見える。
【最新知見】 最近では、内視鏡のNBI(特殊光)拡大観察や、2025年改訂のガイドライン等に基づいた精密な診断により、ごく小さな段階での発見が可能になっています。
このがんは、胃の表面ではなく、少し深い層(粘膜固有層の深部〜粘膜下層)で発育します。そのため、腫瘍のサイズが数ミリと小さくても、組織学的には「粘膜下層浸潤(SM浸潤)」と診断されることがよくあります。 従来の胃がんでは「SM浸潤=外科手術を検討」となることが多いですが、胃底腺型胃癌の場合は浸潤していても転移リスクが極めて低いため、内視鏡治療で完治が目指せます。
2019年のWHO分類改訂、および2025年の国内ガイドライン改訂等の流れの中で、この疾患は**「胃底腺腺腫(OGA)」と「胃底腺型胃癌(GA-FG)」**に整理され、診断の精度が向上しています。
診断: 内視鏡検査で疑われた場合、必要に応じて生検(組織の一部を採取)を行います。
治療: 基本的には**ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)**による切除が行われます。
予後: 適切に切除できれば、再発や転移の心配はほとんどなく、予後は極めて良好です。
「胃がん」という言葉を聞くと驚かれるかもしれませんが、胃底腺型胃癌は従来の胃がんとは性質が大きく異なる**「優しいがん」**です。
当院では、最新の内視鏡機器(NBI拡大観察等)を用いて、ピロリ菌未感染の方の胃の健康もしっかりチェックしています。もし健康診断等で「胃底腺型胃癌の疑い」や「粘膜下腫瘍疑い」と指摘された場合は、お気軽にご相談ください。
胃底腺型胃癌は、ごく小さな「できもの」として見つかることが多く、一般的な胃がんとは見え方が異なります。当院では、最新の機器を用いて「見逃さない・負担の少ない」検査を行っています。
まずは現在の症状や、過去のピロリ菌除菌歴、健康診断の結果などを詳しく伺います。
ポイント: 胃底腺型胃癌は自覚症状がほとんどありません。検診のバリウム検査や内視鏡検査で「ポリープ」や「粘膜下腫瘍」として疑われたことがきっかけで見つかることが一般的です。
胃底腺型胃癌の診断において、最も重要なステップです。 当院では、微細な病変を強調して映し出す**「NBI(狭帯域光観察)」や、細胞レベルまで拡大して観察できる「拡大内視鏡」**を導入しています。
血管の観察: このがんに特有の「樹枝状の血管」が表面にあるかどうかを詳しくチェックします。
楽な検査: ご希望に応じて、鎮静剤(眠り薬)を使用して、リラックスした状態で検査を受けていただくことが可能です。
内視鏡で病変が見つかった場合、その場で組織の一部をつまみ出し、顕微鏡で詳しく調べる「生検」を行うことがあります。
診断の確定: 採取した組織を病理医が解析し、がん細胞(胃底腺型胃癌)の有無や、その悪性度を判定します。
検査から1〜2週間後、結果をご説明します。
治療の選択: 胃底腺型胃癌と診断された場合、その多くは非常に大人しい性質のため、**「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)」**という内視鏡治療での完治が可能です。
連携体制: 手術が必要な場合は、提携する高度医療機関へスムーズにご紹介できる体制を整えています。
1. ピロリ菌未感染の胃に特化した観察 「ピロリ菌がいないから大丈夫」と見過ごされがちな微細な変化を、専門医の目で慎重に診査します。
2. 苦痛に配慮した内視鏡システム 鼻からの検査(経鼻内視鏡)や、鎮静剤を用いた「眠っている間の検査」など、患者さんのご希望に合わせた手法を選択いただけます。
3. 迅速な診断と丁寧な解説 「がんと診断されて不安」というお気持ちに寄り添い、専門用語を使わずに分かりやすく現在の状況を説明いたします。