
大腸ポリープ
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできるイボ状の突起物で、多くは大腸がんの前段階と考えられています。早期に発見し、切除することで、大腸がんの予防に繋がるため、定期的な検査が非常に重要です。
大腸ポリープにはいくつかの種類がありますが、特に注意が必要なのが「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれるものです。腺腫は、放置するとがん化する可能性があり、その大きさや形によってがん化のリスクが異なります。一方、がん化しない「非腫瘍性ポリープ(過形成性ポリープなど)」もあります。
大腸がんの罹患数・死亡数の増加傾向 国立がん研究センターのデータによると、2016年以降、女性において大腸がんの罹患数に穏やかな増加傾向が見られ、将来的にさらなる増加が予測されています。しかし、年齢調整死亡率は近年穏やかな減少傾向にあり、これは早期発見・早期治療の進歩によるものと考えられます。
ポリープ切除の重要性とガイドラインの改訂 大腸腺腫の内視鏡切除は、大腸がんの罹患率を約80%減少させると報告されており、非常に有効な予防策です。2020年に改訂された「大腸ポリープ診療ガイドライン」では、「発見した大腸腺腫は大きさにかかわらず、将来の癌への進展予防を目的として内視鏡切除を弱く推奨する」とされました。ただし、5mm以下の隆起性腺腫で癌の特徴を認めなければ経過観察も容認されることがあります。直腸からS状結腸にできる鋸歯状病変の一部は原則切除が不要とされています。
大腸カメラ検査の間隔 初回の大腸内視鏡検査で病変がなければ、次回検査は10年後で可能とガイドラインに明記されました。ただし、初回検査が不完全な場合は1年以内の再検査が必要です。
AI(人工知能)を活用した診断支援 近年、AI技術が内視鏡検査に導入され始めています。AIは、内視鏡画像をリアルタイムで解析し、大腸ポリープや早期がんの可能性のある領域を検出・鑑別するサポートを行います。これにより、医師の見落としを防ぎ、より高精度な診断に繋がると期待されています。多くのクリニックで「EndoBRAIN-EYE」や「CAD EYE」といったシステムが導入され、診断精度の向上が図られています。
大腸ポリープの発生には生活習慣が大きく関わるとされています。
食生活の改善:
適度な運動:
禁煙・節酒:
適切な体重維持:
定期的な大腸カメラ検査:
ポリープ切除後は、合併症を防ぐために以下の点に注意が必要です。
大腸ポリープは、早期発見・早期治療でがん化を防げる病変です。最新のAI技術なども活用し、より高精度な検査が受けられるようになっています。自身の健康のためにも、積極的に検査を受け、適切な生活習慣を心がけましょう。