## 脳の次に賢い臓器、「腸」の驚くべき正体

「大事なプレゼンの前にお腹が痛くなる」 「悩み事があるとなぜか食欲がなくなる」

私たちは普段何気なく経験していますが、これは**「脳腸相関（のうちょうそうかん）」と呼ばれる、医学的にも証明された深い結びつきによるものです。実は、消化器（特に腸）は、独自の神経ネットワークを持っていることから「第2の脳」**と呼ばれているのをご存知でしょうか？

## 幸せのカギは「お腹」が握っている

消化器内科の視点で見ると、私たちのメンタルヘルスとお腹の健康はコインの裏表です。

• 幸せホルモンの工場： 精神の安定に欠かせない神経伝達物質「セロトニン」。実はその**約90%**は脳ではなく、腸内で作られています。

• 脳への直通回線： 腸は脳からの指令を待つだけでなく、自らの判断で「今の体の状態」を脳へ報告しています。お腹の環境が悪化すると、脳へ「不安」や「イライラ」の信号が送られてしまうこともあるのです。

つまり、**「お腹を整えること」は、そのまま「心を整えること」**に直結します。

## 消化器内科医は、あなたの人生の「伴走者」

消化器内科と聞くと、「胃がんや大腸がんを見つける場所」という怖いイメージや、「風邪の時にお腹を見てもらう場所」という軽いイメージがあるかもしれません。

しかし、本来の役割はその中間にあります。 私たちは、「食べる・消化する・出す」という、人間が生きていく上で最も基本的な営みを守るプロフェッショナルです。

「検査で異常はないと言われたけれど、なんとなくお腹の調子が悪い」 そんな「機能性ディスペプシア」や「過敏性腸症候群」といった病気も、近年注目されています。目に見える病変がなくても、あなたのQOL（生活の質）を下げている原因を一緒に探し、解決策を見つけるのが私たちの仕事です。

## その違和感、放っておかないで

「ただの胃もたれ」「いつもの便秘」と軽く考えず、一度、あなたのお腹の声に耳を傾けてみてください。消化器内科医は、その無口な「第2の脳」からのメッセージを読み解き、あなたが健やかな毎日を取り戻すお手伝いをします。

お腹がスッキリすれば、心も晴れる。 そんな体験を、ぜひ大切にしてください。